銀座で働く上では勿論、上司や接待で飲食店を利用した際にも知っておくと便利なのがお酒についてです。
今回はウイスキーとは何か、どのようにして飲むのか等お話しします。
ウイスキーとは
ウイスキーは穀物が原料、蒸溜酒、樽で熟成されていることが定義となります。
①穀物(原料)
大麦、小麦、トウモロコシ、ライ麦等の穀物が原料であることが条件です。穀物の種類や比率で味の違いがあります。
よく使われる原料は下記の4つです。
[モルト(大麦麦芽)]
発芽させた大麦のこと。糖化(デンプンをアルコール生成に必要な糖に変える)に必要な酵素を持ち、すべてのウイスキーに使用。
[大麦・小麦]
大麦はオイリーな味に、小麦はまろやかな味になるのが特徴。小麦を全体の51%以上使ったものをウィートウイスキーと呼びます。
[トウモロコシ]
アメリカで作られるバーボンウイスキーやコーンウイスキーの主原料。使用比率が高くなるほど甘味が強くなるのが特徴です。
[ライ麦]
ライ麦パンをイメージするとわかるように、スパイシーな酸味を生みます。カナダのウイスキーづくりに欠かせない穀物です。
②蒸留酒であること
モルトを糖化した液体(麦汁)を発酵し、アルコール度数7〜9%の発酵液(モロミ)をつくります。ここまではビールとほぼ同じ工程ですが、ウイスキーはこのあとアルコール度数を高めるために蒸溜を何回か行います。
使われる蒸留装置には下記のようなものがあります。
単式蒸溜器(ポットスチル)
1回蒸溜するたびに中身を入れ替えて使います。サイズや首の長さ、傾き、土台部分のくびれの有無など、様々な形があり、それらが香味に変化を与えます。
連続式蒸溜機 (コラムスチル・パテントスチル)
箱を積み重ねたような形で、その箱ひとつひとつがポットスチルのような役割を果たします。モロミを入れ続けることで連続的に蒸溜が可能。クリアな酒質をつくりだします。写真提供:アサヒビール(ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所)
③樽熟成させる
ウイスキーの製造において、約9割の時間を占めるのがこの工程です。樽のサイズや使われている木材、樽貯蔵庫内の環境など、様々な要素が味や香りに影響を与えます。樽熟成が原酒の個性を決める重要な要素ともいえます。
樽熟成のビフォー・アフターを見てみましょう。
【ビフォー】
【アフター】
蒸溜器から出てきた原酒は透明ですが、樽熟成すると茶色になります。原酒によって最適な熟成期間は異なり、それを見極めるのも匠の技です。
樽のサイズも様々です。小さな樽は早く、大きな樽はゆっくりと原酒を熟成させます。シェリーやワインなどほかの酒の貯蔵に使われた樽を使用することもあり、それもまた原酒に個性を加えています。
ウイスキーの種類
「シングルモルト」という言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。これは原料や製造方法によって分類されるウイスキーの種類のことです。ここではそれぞれの作り方や味の特徴を紹介します。
モルトウイスキー
原料がモルト100%のウイスキー。主に単式蒸溜器で蒸溜します。モルトをピートという泥炭で燻し、スモーキーな香りをつけたものなど、個性的な味のウイスキーが多く見られます。
モルトウイスキーはさらに2種類に分けられます
ブレンデッドモルト
複数の蒸溜所の原酒を組み合わせてつくったモルトウイスキーのことです。ヴァテッドモルトと呼ばれることもあったが、いまはブレンデッドモルトウイスキーに統一されています。特徴:ブレンダー(最適な組み合わせ・配分で原酒を混ぜる人)の個性が強く出ます。
シングルモルト
単一の蒸溜所でつくられた原酒のみを使ったモルトウイスキー。なかでもひとつの樽の原酒だけでつくられたものをシングルカスク(シングルバレル)といいます。特徴:蒸溜所が建つ場所の風土の影響や、つくり手の個性が表れやすいです。
グレーンウイスキー
トウモロコシや小麦、ライ麦などモルト以外の穀物も使ってつくるウイスキーのことです。主に連続式蒸溜機を使用します。ブレンデッドウイスキー用の原酒として使われることが多いです。特徴:モルトウイスキーに比べるとクセがあまりなく、飲みやすいクリーンな味です。
ブレンデッド
モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしてつくられたものを指します。ブレンダーが自分の味覚や嗅覚を生かし、ベストな配分に調合する。市場に出回っているウイスキーの大部分はこのタイプです。特徴:まろやかでバランスのとれた味わいです。
ウイスキーの飲み方
ソーダ割りや水割り、ロック……ウイスキーはこれら以外にも様々な飲み方ができます。アルコール度数は高いですが、飲み方でそれを自分好みに調整し、味や香りを楽しめるのが魅力です。
本来の味や香りに浸る「ストレート」
グラスに注いでそのまま飲むことです。別名をニートといいます。冷やすと香りが立ちにくくなるため、ウイスキーは常温がベスト。アルコール度数が高いので、少量ずつゆっくりと、水と交互に飲んでじっくり味わいましょう。
風味の変化を感じとる「オン・ザ・ロック」
氷を入れたロックグラスに注ぐ飲み方。できるだけ大きめの氷を使うと溶けにくいです。表面積の少ない丸氷がベストだが、コンビニで買える氷でもOKです。氷が溶けるのに従い、変化していく味を楽しめます。
立ち上がる芳香を堪能「トワイスアップ」
ブレンダーのテイスティング用の飲み方。ウイスキーと常温の水を1:1で割ります。加水することで香りが開きます。最初にストレートで飲んでから、途中で加水し香りの変化を感じてみるのも◎です。
マイルドだけどすっきり「ハーフロック」
オン・ザ・ロックの1種。氷を入れたロックグラスに、ウイスキーと水を1:1で入れて、軽く混ぜれば完成です。オン・ザ・ロックより、味と香りがマイルドで、トワイスアップよりものどごしが良いです。
シャープなキレと爽快感「ソーダ割り」
居酒屋でハイボールを注文して出てくるのがコレです。氷の入ったグラスにウイスキーとソーダを約1:3の割合で入れます。レモンを搾ったり、少しオレンジジュースを足したりしてもおいしいです。
日本で生まれた独自スタイル「水割り」
日本で生まれた食事と合わせやすい飲み方です。氷を入れたグラスにウイスキーと水を約1:2〜2.5の割合で入れます。シンプルなだけにクセのない水を選ぶとおいしい水割りがつくれます。
ロックと水割りの良いとこどり「ミストスタイル」
細かく砕いた氷を入れたグラスに注ぐスタイル。グラスの外側に水滴が付いて、霧(ミスト)に包まれたように見えることから名づけられました。最初はロック、後半は水割りのような味わいです。
世界5大ウイスキー
ウイスキーは味や香りが多彩で、そのときの気分に合わせて選ぶことができます。その個性は、 様々な要素に由来しますが、ひとつに生産地が挙げられます。その土地を流れる水を使って作るからです。
まずは王道を把握したい「スコッチウイスキー」
ウイスキーの代名詞ともいえるスコットランドのウイスキー。生産地域が6つに分けられ、それぞれ個性がある。全体的にピート由来のスモーキーさを感じる銘柄が多いです。
[代表的銘柄]ザ・マッカラン 12年
シングルモルトのロールス・ロイスと呼ばれます。シェリー樽熟成が生む甘みとスパイシーさ、赤味がかった琥珀色が特徴です。
軽い飲み口で舌慣らししたい「カナディアンウイスキー」
クセがなくカクテルに使われることが多いです。主原料にライ麦を使った原酒とトウモロコシを使った原酒をブレンドするカナディアン・ブレンデッドウイスキーが主流です。
[代表的銘柄]カナディアンクラブ
「CC」の愛称で親しまれるブレンデッドウイスキー。まろやかで飲みやすく、ウイスキービギナーにオススメの一本です。
素材による風味の違いを感じたい「アメリカンウイスキー」
アメリカのウイスキーは様々な穀物を使います。トウモロコシを51%以上使ってつくるバーボンのほか、ライウイスキー(ライ麦)やウィートウイスキー(小麦)などもあります。
[代表的銘柄]ジムビーム
1973年以降、世界売上ナンバーワンを誇るバーボン。創業者ビーム一族に伝わる秘伝のレシピと製法が豊かな香りを生みます。
伝統の味を知りたい「アイリッシュウイスキー」
スコットランドと起源を争う歴史の長いウイスキー。アイルランドでつくられます。未発芽の大麦を使い蒸溜を3回行うのが伝統の製法。オリイーながらもマイルドです。
[代表的銘柄]ジェムソン
3回蒸溜や未発芽の大麦を使うなど、伝統的な方法でつくられるブレンデッド。すっきりとした飲み口とほのかな甘みが人気です。
繊細な香味に酔いしれたい「ジャパニーズウイスキー」
スコッチをベースに日本人の味覚に合わせて進化したウイスキー。海外に比べ蒸溜所が少ないため、自社内で多様な原酒を生み出そうと努める職人たちの技が光ります。
[代表的銘柄]山崎
1984年に誕生したシングルモルト。国際的なコンテストで多数入賞し、世界中でも愛される。凝縮された果実香が漂います。